ユッコはブルマに手をかけたままこちらを見ている。
「阿部先輩、ひょっとしてブルマ履いたまま、ここをクンクンしたいの?」ユッコは主導権を握っているとばかりに
わざとらしい言い方をする。
「まだ試合は終わってないぞ」とっさに僕は答えたものの、ペニスを露出しまった後では格好がつかない。
とりあえず、トランクスを上げて少しでも試合の方向へ持っていかなければ・・・。
「だめー!」ユッコの声がして目の前が暗くなった。あ、パンチを食らったんだ。
僕はノビてしまった。そういえば試合中は散々殴られているからスタミナも減っている。どうしようもない。
「わぁ、ダウンしてるのにこんなに立ってる!」
「ちょっと触ってみようかな」
「わっ!ビクッと動いた!」
ユッコが好き放題言っている。と。ユッコが急に顔を急接近して来た。
「な、何?」僕が答えを教えてもらう前にユッコがキスをして来た。正確にはキスでは無い。
ユッコは自分のマウスピースを口移しして来た。生暖かいマウスピースは僕の口に反対になる方向に入ってきた。
「ふう」ユッコは顔を離して僕を見る。僕とユッコの口の間に唾液の糸が繋がっている。
「へぇー、これで立つ男の子がいるって聞いてたけど、阿部先輩もそうなんだ」
ユッコの言う通り、僕は隠れマウスピースフェチだ。弱みを握られてしまった。
「違うよ!」僕は嘘をつき、口から自分のとユッコのマウスピースを取り外した。
「ふーん」ユッコは僕の心を見透かしたような、僕の後ろにある何かを見ているような。嫌な笑顔を見せた。
「でもね、ここを嫌がる男の子っていないでしょ」ユッコは自分の股間を指指す。
「知ってる?ブルマって毎日洗わないコ、たくさんいるんだよ?」
そう言うと、今度はじらさずにブルマを脱いだ。そしてユッコは股間の部分を僕の鼻に当てて来た。
尿の乾いた匂いがした。理性を失いそうだ。ここは切り抜けなければ。筆おろしは好きな人としたい。
「まった!」僕はユッコにはっきり言った。
「ボクシングの仕切り直しだ。ちゃんと戦おう」
(こいつ、真面目すぎる、しらける)という表情のユッコ。
「しょうがないな」ユッコはそう言って自分のコーナーに戻る。
(何とか時間はかせげそうだ。それに本気を出せば・・・)
ちなみに僕は本気をそこまで出していなかった。童貞の危機に比べれば、ユッコを殴り倒して
顧問に怒られる位、大丈夫。
大丈夫だよな?僕。