それからママは数ラウンド戦っていた。特にインターバルでの催しモノは無い。一ラウンドのインターバル限定だったのだろうか?

とにかく!とにかくママはラウンドを重ねるごとにボロボロになって帰ってくる。その上、相手選手には全くダメージを与えていない。

でもそれでいい。ぼくはママが艶かしい息をハァハァ吐きながら帰ってくる姿を見ては楽しんでいるんだ。

 しかしもう六ラウンドだ。打たれっぱなしで、よくママは立っていられる。インターバルごときの時間じゃあ、ダメージ回復は無理そうだ。

ただ休憩にもならない時間、椅子に座って息を荒くしながら、汗の蒸れた匂いを発する火照った体を休める事無く、次のラウンドへ入る。

 七ラウンド終了のインターバルだ。ぼくは椅子を用意してママを迎えた。口に血まみれのマウスピースを咥えて、それをはみ出させながらグッタリと

椅子に座るママ。そこでアナウンスが流れた。

「どうやら片方、劣勢のようです。いい具合に殴られ、敗者の風貌を表しています!」

そしてママが椅子でグッタリとしている様子が天上のビジョンに映し出される。そしてレフリーがぼくにマイクを渡して来た。

「さあ、お客さんの皆は貴方みたいに近くでその匂いや熱気を感じずに歯がゆい思いをされているようです!そこでセコンドのあなたから詳しく語って下さい!」

突然僕に話が振られた。こんなに人が見てる前で、変態カミングアウトをしろと、そういう訳らしい。

ヤケだ。何もかも話してしまおう、ぼくはまだ子供だ。でも感じたことを全て吐き出せばいい!ぼくはマイクを口元に当て、喋り始める。

「見てもらったら分かる通り、ボロボロです。顔は腫れ上がって試合前のはつらつとした顔はみじんにも残っていません。これは観客席の皆さんも興奮されている

事でしょう」

拍手が四方から起こる。どうやらこんなカンジで良いらしい。

「でも顔を歪めている原因はマウスピースにもあります。この口から大きくはみ出ている物体です。今取ります・・・写っているように、唾液と血の交じり合った

 液体の糸を引きながら出てきました。歯を入れる窪みにもその粘液が溜まっています。こうやって傾けると・・・・・・マウスピースから粘液が大量に滴ります。

 血の匂いはしません、ただ唾液を濃縮したようなツーンと鼻の奥まで刺激する匂いがします。これはぼくのママの口の中の全ての匂いが集まっているのです。

 例えるなら、唾液を腕に吐いて擦ってみてください。それと同じようなツーンとする匂いです」

さっきより拍手が大きくなった。レフリーの女性もよくやっていると言わんばかりに頷いている。

「そして体臭ですが、やっぱり汗の溜まりやすい脇がムレて凄い匂いがします。女性の肌の甘い香りに据えた香りが混じって・・・決してワキガでは無いのですが

 大人の女性といわんばかりの香りを振りまいています。おっぱいも蒸れて、とても柔らかくて手に吸い付いてくる感触がします。おっぱいの話になりましたが、

散々ここも殴られたらしく青いアザで腫れています。両方の乳首からはその刺激でいまだに母乳がダラダラと流れています」

次は!?という空気が流れる。ぼくは続けた。

「次は気になるこの黒いパンツです。汗で湿ってムレて、本人にとって気持ちの良いものではないと思います。通気をしようとこうやってパタパタすると・・・

 女性器の匂いが汗の匂いとともに漂ってきます。女性は日によって性器の匂いが違うようですが、今日は塩っぽいチーズの匂いがします。陰毛もその匂いを

吸収しつつ、汗でモワモワと蒸気を今にも立ち昇るようなカンジです」

ぼくは説明を終えた。レフリーにマイクを渡して、手に持っていたマウスピースをママの口にねじ込んだ。

ママは説明中、休む事に専念していたようで一言も口を聞かずにグッタリしていた。

そして次のラウンド開始のゴング。ママは立ち上がるとよたよたと歩いていった。完全無防備だ。

もう駄目だという事は分かっていた。だから相手がアッパーを打つ時も慌ててママに注意を呼びかけなかった。もう終わりだから。

ズバン!と勢いの良いアッパーがママのアゴを突き上げた。衝撃でマウスピースが宙を舞う。臭くて汚いマウスピースがライトに照らされて皆の目を引く。

ママは勿論あおけに倒れて動かなくなったが、皆はマウスピースの行方を見ていた。

ビチャビチャと釣った魚が船の上で跳ね回るような音がする。唾液と血を撒き散らして。

そしてママのマウスピースが動かなくなると、ママが完全KOの姿で横たわっている。一瞬痙攣のようにのけぞり、左右のおっぱいから母乳をビュルル!と噴出して

マットの上を汚した。それは射精のようだった。宴の終了の射精。

 ぼくは、危ない世界に一歩踏み込んだらしい。でも止まるつもりは無い。帰ってから妄想で何発抜けるだろうか?