「衝動?何よそれ」谷口がそう言ったとたん、矢根が突然ボディを打ってきた。

 

どむ!

「ウ・・・」

かろうじて腹筋に力を入れて大ダメージは回避したが、少し苦しく、中腰になった。

「谷口―、マウスピースちゃんと咥えてるだろうな」

「げほっ・・・咥えてるわよ!」

「そうか、じゃあ顔面を行くが、その前に。今のボディも衝動だな」

「言ってる事、全然理解できないんだけど」

谷口は中腰の状態から立ち直り、ファイティングポーズをとっている。

「つまりな、俺がどうする?って聞くと、俺の頭の中で、やっちまえ!って声が響く。そしてやっちまうと。

 それは衝動なんだよ」

 

「・・・サイコ野郎」谷口は罵ったが、矢根の耳には届いていないらしい。見るからに自分の哲学に酔っている。

 

 

「お前の言うサイコ野郎が疼いてる。行くぞ」

 

矢根は右フックを打ってきた。谷口はそれを素早く読み取り、ガードで固める。

バン!とガードの上から矢根のパンチが当たる。

だが威力が凄まじい。谷口のガードを弾き飛ばした。

「1、2、3」と、テンポの良いカウントをしながら左、右、左と矢根のパンチが谷口の顔にヒットした。

谷口は後退して、逃げの形になる。

「矢根、あんたの負けね」苦しいながらも谷口は笑って言った。

「負け?俺が?なんで?」

「パンチ一発一発に力入れすぎ。すぐスタミナに影響するわ!」

「そっか、じゃあスタミナ減って、俺がへたばるのに期待してろ」

 

矢根はそう言うと、すぐ谷口へ突進する。

谷口は今度こそガードしようと腕に全神経を集中させた。

先ほどと同じように矢根はフックを打ってきた。

バシッ!という音が部室内に響いた。今回は谷口のガードが成功した。

だがフックに対するガードに一生懸命だったので、ボディがおろそかになっている。

ずむっ!という音のようなものを谷口は体感した。

矢根のパンチは見事に谷口のボディに食い込んでいた。

「ぐお!」谷口は重く低い声で苦悶の声を出した。

「俺ってフェチがいっぱいあってなぁ、ボディーパンチも大好きなんだ。今のボディは最高だった。

 マウスピース好き、ボディ好き、アッパーも好き。ボクシングは俺のリビドー(性衝動)を満たしてくれる」

「変態野郎!」谷口はボディを押さえ苦しい状態で矢根を罵った。

「変態野郎?そうだな。しかしな」そう言って矢根は左右のフックを力いっぱい連打した。

一発ごとに生々しい音がして谷口は唾液を吐く。そしてマウスピースがどんどん口から零れ落ちそうになった。

「その変態野郎が主将になるんだぜ?」

そう言いながら谷口の口からはみ出たマウスピースをそっと口へ押し込むと

「じゃ、行きます」と言って谷口の顔面をひたすら殴った。

「女って最高!」

バキッ!バキッ!バキッ!バキッ!バキッ!バキッ!

「プゥッ!」谷口がマウスピースをいきなり噴出してあおむけにダウンした。

「聞いてるかー?俺が主将になるんだぜ?」

(誰がアンタみたいな異常人間を主将にする?私が勝たないと・・・)

谷口はそう強く決心し、必死に立ち上がる。足腰がフラつくのを必死に抑えながら。

「たどたどしい足取りだな。それでも立つっていうんなら、相当ボッコボコになる覚悟があるんだろ?」

矢根はそう言って谷口をドン!と突き飛ばして、谷口をロープまで移動させた。

そして両腕をロープにからみつかせて動きをとれなくする。

「マウスピース拾ってやったぞ」矢根は谷口の口にマウスピースを突っ込んだ。

「それじゃ、行くぞー!」矢根はマットを滑らすようにパンチを出し、そこから一気に拳を上昇させて、アッパーを打つ。

ぐじゃ!

ひどい音がした。熟れた柿が地面に落ちるような音が。

谷口はのけぞる。そしてマウピースを口から発射させた。唾液が糸をピザのチーズのように伸びてマウスピースの軌跡を辿る。

ぺちょっ、ぺちょっ。と、唾液の弾ける音を出しながらリング外を跳ね回る。

「いいねー!射精しちゃいそうだよ。あれ?谷口?気絶したか?」

谷口は両手をロープに固定されたまま、ぐったりとしている。

「終わりかな?でもいいよその顔。両目が塞がるかのように腫れ上がり、鼻血出して、口の中も切って口の端から滴ってる。

 俺のパンチは一発一発が思い切りだから、まあこうなるわな。でもいいなぁ、写真撮ろうかな?でもカメラがねぇな」

「・・・変態・・・野郎・・・」谷口は顔を前に倒してグッタリしているまま、消えそうな声で言った。

「おっ、まだ試合続行か?まだやるか?」

谷口は僅かに頷いた。

「よし、じゃあ少し休憩タイムをやるよ、休め、俺は興奮してるから一発抜く」

矢根はそう言うと左グローブで谷口の髪を鷲づかみにすると、上に持ち上げて顔をこちらに向けさせた。

そして矢根はトランクスが下げ、勃起したペニスを露出させる。

(お・・・おちんちん?)谷口は始めてみるペニスに衝撃を受けた。

矢根は右グローブでペニスをしごき始める。

一分ほど経って。

「谷口、顔にぶっかけるのと口の中にぶっかけるのと、どっちがいい?」

(えっ!?)谷口はそういうのを漫画でしか見たことが無い。まさか今日、自分がそういう立場になるとは思ってもみなかった。

「そのままだと顔にぶっかける、口を開けたら口に注ぎ込む。自分で選びな!」

(顔にかけたら髪とかについて、洗顔とシャンプーをしないといけない・・・怖いけど・・・口で・・・)

谷口はゆっくり口を開けた。

「オッケー!行くぞ」そう言うと矢根は谷口の口にペニスを根元までいきなり押し込んだ。

(これって、フェラチオってヤツ?やめさせたいけど体が動かない・・・早く回復しないと)

「あったけぇ!生々しいな、まあ生なんだけど。じゃ、出すぞ!」

谷口は口の中のペニスがビクンビクン動くのを感じた。それと同時に生暖かく、生臭い液体が口いっぱいに溢れる。

「今日はツイてるなぁ!俺のリビドー大全開。そして俺のリビドー大満足!」

そう言いながらトランクスを上げた。

ぐったりした谷口は口から精液をダラーッと垂らしている。

矢根はロープから谷口の両腕を自由にさせ、無理やり立たせた。

「まだやるんだろ?試合」矢根が言うと、先ほどと同じように谷口は首を僅かに傾けた。