「ねーちん?」

いつきはセーラー服のままで、青いグローブを付けてリングの上に立っている。

「ん?どしたー?」真野が更衣室から出てきた。

「ねーちん、家がボクシングジムで防音設備完璧で、お父さんもお母さんもお泊り。

それはボクシングやろう!っていうのはいいんだけど、何でボクはセーラー服?。

 

「私が決めた事に文句言わないの! 私は赤いグローブにトップレス。パンツ一枚。おあいこでしょ?」

「おあいこ……かぁ」

「そう、おあいこ。私こう見えても結構モテるんだ。そんな女性の胸を見ても何とも思わない?」

確かに真野の胸は大きく、美しい釣り鐘型だ。

揉むと、手に吸い付いてそのまま取り込まれてしまいそうな程に柔らかいのを、いつきは知っている。

「ねーちん、今日は大人しく、取り上げたマウスピースでオナニーするのかと思ってた」

いつきの言葉に、真野は顔を赤くして言った。

「オナニーオナニー昼からずっとうるさい!最終的に私とヤりたいんでしょ?」

「いや、女の人とセックスしたのって二人位だよ。ねーちんがそのうちの一人」

 

 

 試合を始めた。ゴングも何もいらない。二人が向き合ってグローブを構えた時。いつも試合は始まる。

 

 いきなり真野の顎が少し跳ね上がる。

いつきは一瞬で間合いを詰め、アッパーを打っていた。

(さすが。さすがだよ)

基本的に、いつきは平和主義者で人を殴ることは出来ない。だが、リングの上ではルールを守る限り、全く問題ないと真野はいつきに、言い聞かせた。何度も何度も。

結果。いつきはリングに上がると、今までの性格にと凶暴さがプラスされるようになった。

 

(今日はノックアウトして、レイプでもしてやるか)

真野は舌なめずりをしながらそう思った。

しかし足を使って逃げても逃げても、なかなかいつきとの範囲は広がらない。

立場上、いつきは男子ボクシングにも女子ボクシング部でも入部を断られた。きっと今の試合を見ると、どちらの部でも欲しがられるだろう。試合に出るのは無理としても、スパーリング相手としては最強の部類に入るのだから。

 

「ねーちん、ノックアウトしたら犯すよ」

いつきが目に炎を灯したように真っ赤に見えたのは、きっと真野の見間違いだろう。

 

 いつきの右足に力が入る。

踏み込んで、左フックを打つように見えた。

(間違い無い。ガードを固めよう)

やはり左フックが放たれた。計算違いなのは、拳に回転が付いていたのと、想像以上にスピードが速かった事だ。

グローブごと弾けるような音がして、いつきのパンチは振りぬける事無く、真野の首の回転の限界まで回り、それでも尚、首の骨を折らんとばかりに力が入っている。

いつきのスカートが、急に動きを止めた為に、ふぁさっと揺れる。

「カウントは無しだったよね?ねーちん」

いつきはいつもの笑顔を見せるが、考えている事は全く違う。凶暴性が顔を覗かせて獲物を探している。

 

 二人でこっそり始めたエロボクシング。最初はいつきと真野は同じ位の強さで、白熱戦をしていたが、今は、いつきの凶暴さに真野は服従させられているように感じる。ただ、それが良い。真野は部活の試合でも滅多に負けず、周りから尊敬されているが、そんな自分が叩きのめされるのを快感に思っている。理由は他にもあるが……。

 

「いつき、アンタまた強くなった?」

よろけるように立ち上がりながら真野は言った。「うん、そうみたいだね。でも、ねーちんはそれが楽しみなんでしょ?」

それを聞いて、口の端から血を垂らしながら真野は頷いた。

 

 いつきは間合いを一瞬で詰め、真野の胸中心を打った。そのショックで、左右の胸が揺れる。

「ごはっ…」

真野が肺から空気を吐き出す。前のめりに倒れ、土下座をするような形で激しく咳をしていた。

 

「みぞおち打ったら、もう、ねーちんは立てないと思ってさ、そこ打っちゃった」

 

咳をしながらも、いつきは立ち上がる。

「私は弱いんだよ、だから私を中心に試合を組まれても、顧問が得するだけで、私には何も残らない。プレッシャーだけ与えられる。迷惑なんだよ、私は弱いのに」

いつきは独り言を言う。本音で間違い無いだろう。

「ねーちん、キツそうだね」

いつきが言う。

真野は肩で息をして、物凄い量の汗をかいている。

「精神的にキてるかな、こんな感情、丸ごと潰してもらいたい気分だよ」

 

「精神的にか……じゃあボクがそんな、ナイトメア(悪夢)のような存在を消してあげる」

 

ボゴッ!と右フックが真野の左頬にヒットし、そこからさらに頬の肉に埋まるように、回転している、いつきのパンチはめり込んだ。

真野の顔は歪み、物理上、マウスピースを咥ている事が困難な骨格になった。

マウスピースは当然外れ、マットの上にトントンと軽くバウンドをした。

「ねーちん、疲れてるんだね。マウスピースに付いてる唾液が少ないし、

何よりここまで匂いが漂ってくる濃さだよ」

そう言いながら、いつきは真野の顔を見る。

ダウンはしないものの、半分白目になっているので、いつきの声が届いているかは分からない。

 

「ねーちん、気がつくかなぁ?ほっといたらいいか、立ってるし。気がつくまで待ってるよ」

いつきは腕組みをしてリングに仁王立ちをしている。だが一件、女子で、セーラー服姿のいつきは、周りから見るとただの女の娘だ。迫力は無い。

「疲れてるんだね、ねーちんは。汗の匂いだって濃い。パンツからもチーズと、おせんべいの混じったような匂いがこの距離から分かるくらいに漂ってる。発情してるんじゃなかったら、きっと精神的に参っちゃってるんだね」

 

真野はいつの間にか、目が正気に戻っていた。

「いつき、私が立ち上がらないようなパンチを打って欲しい」

そう言われ、いつきは首をかしげて考えている。その間に真野は自分のマウスピースを口に入れていた。

「よし!わかった!」

いつきはそう言うと、右ストレートを打った。

少し右にそれ、左の晴上った頬をえぐるような形でヒットする。

ヌメリと唾液がグローブに付着した。

(唾液が分泌してる。気を持ち直したかな?じゃあいつもの言葉攻めで行くよ)

いつきは次に左ストレートを打つ。やはり唾液がジュルリと音をたてて歪んだ口の端からグローブに付着した。

 

「ねーちん、ボクみたいな軟弱モノにここまでやられてさ、おまけに汚いツバまで出して、悔しくない?」

真野がカウンターや反撃の出来ない、絶妙なストレートやフックを打ち続ける。

「ねーちん、期待してるのかな?なんだか生臭いマ●コの匂いとか、汁の匂いしかしないよ」

とにかく打つ。凶暴化したいつきに手加減は無い。

「きっと、ねーちんのマ●コは、今舐めたりすると物凄く臭いんだろうね」

反撃しようとする真野は、抵抗を諦めたらしい。

「そんなレベルで試合に出ちゃダメだよ。ノックアウトして証明するから」

言葉に答えるように「ブボッ」と声を出して、真野は勢い良くマウスピースを吐き出した。

「血と唾液で汚れちゃった。かなり臭いから、洗っても匂うかもね」

もう真野には聞こえていないようだ。その状態で立っているのは凄いが、倒れるのは時間の問題だ。

 

 

ずん!と音がして、リングの上は静かになった。

 

 

しばらくしてから、真野は、がぼがぼっ! と唾液の塊を大量に吐いてダウンした。

 

 

「終わりっ。ボクは殴り足らないけど、この位でストップしないとね」

仰向けに大の字の格好でダウンしている真野は、性行為でイった時と同じような痙攣をしている。

「もう、気絶したままでいいよね?」

いつきはセーラー服とスカートを一気に脱いだ。シワになろうが関係ないといった感じだ。

「これが今日の勝負パンツ。女性用下着で思い切って勝っちゃったお姉ちゃんより良いヤツをね」

真野の下着を脱がす。

「やっぱり臭いな……生理の前後とは違うし、やっぱり感情によって匂いも左右するんだろうね。

クロッチは黄色くマ●コの形になってるけど、濡れてる。酸っぱい匂いが凄い」

いつきは自分のパンツを降ろそうとしたが、勃起したペニスが引っかかった。

「あれ?興奮してるつもりは無いんだけど…まあいいや、脱ごう」

 

 

「ねーちん、仰向けに寝てるとお腹の筋肉が割れてるのが分かるね」

すーっと撫でてみる。指にはネッチョリとした汗が絡み付いてきた。

 

いつきはとりあえず舐める事にした。

「あれ?もうマ●コがパックリと開いてる。やる気マンマンだったんだ」

舐め始めると、気絶している真野は悪夢にうなされる様な声を出し、体をくねらせた。

「味がどんどん濃くなって匂いがどんどんキツくなって。今日は何なんだろね?」

 

しばらくすると、舌が疲れたので、いつきは上半身を起こした。

「ふー」

その瞬間、ヘソのあたりがゾクゾクして来た。

「あれ?」

そこからどんどん快楽が広がり、自分でも制御不能な感覚だ。

「やばいっ!」

いつきは射精をしてしまった。

勢い良く、濃い粘液が真野の胸や顔に次々と発射される。

量が多く、ひたすら射精は続けられた。

 

「ねーちんごめん……イっちゃったから終わりね」

 

 

 

 

数日後

 

「入れずにイくなっ!」

「不可抗力だよう、ねーちんがあんなに濃い匂いや液を出すから」

「次はちゃんと入れないと殴る」

「ねーちん怖いよぅ」

 

はたから見ると、強い姉と気弱な弟だった。

 

END