新羅とその娘は言った。

女子ボクシングの風俗店にて、神崎はボクシングスタイルになってニヤけていた。

「え、何笑ってるの?」

新羅は不思議そうに言った。

「いや、ブルーで肩まであるサラサラの髪してさ、なんかSFっぽいなと思って」

「あ、これ地毛だよ?」童顔の新羅はそう言ってクスクス笑った。

 

「じゃあさ、本気でやっていいんだよね?」神崎は少し興奮していた。

「いいよ、私も本気出すから」

そう言って新羅はトップレスボクシングのスタイルになる。

引き締まって腹筋の割れている見事な体が汗ばんでいた。

(あれ?なんか強そうっていうか……俺ヤバい?)

神崎は違う意味で少し汗ばんでいた。

「お客さん、うさみみカチューシャ付けようか?」

「あ、ああ」神崎が適当に答えると、新羅は神崎の頭にスッポリとそれをかぶせた。

(俺かよ……)

 

お互い赤のグローブだ。トランクスも赤いが、何故か新羅は赤いブルマだ。サイドに白いラインが

二本入っている。

 

「はじまりっ!」

新羅はそう言うと嬉しそうな顔をして構えた。

(俺は女をリングに這わせるのが楽しいんだ。服従させてやる!)

神崎は少し力を入れてフックを打ってみた。

パン!と音がして見事にクリーンヒット。「あうっ」と新羅はよろめいた。

(やっぱり客を盛り上げる為の演出だな。強そうで、あえて客に負けてくれるのか)

パン!

神崎はよろめいた。同じようなフックを打たれたらしい。

「ちょっとイラッと来た!本気で行くぞ!?」

神崎はそう言いながら特攻する。

フックを連発するが、新羅は手加減無しにヒョイヒョイと避ける。

ズバッ!

ストレートが神埼の顔面に入った。手加減は無いらしい。

(あれ?ここってそういう店?)意識を少し朦朧とさせながら神崎は思った。

間髪入れず左右のフックが鋭く神崎の両顎に決まった。

 

「お前……俺はSプレイしたいって最初に記入しただろうが!」

大人気無く神崎が怒気を発した。

「いや、お客さんはね、多分本当はM。プロにまかせなさい」

新羅はそう言ってニヤリと笑ったが、目だけが笑っていない。

どぼっ!

ボディにパンチが決まった。自他共に認めるイケメンの顔が歪む。

「ごほっ…」

神崎は咳き込んで、マウスピースを吐き出した。それを新羅がグローブで掴む。

「ほら、やっぱり私、強いでしょ? このマウスピースどうしよっかな」

そう言って新羅は自分のマウスピースを口から掴んで出す。唾液がドローッと付いていた。

「交換しちゃう? ねえ、交換してあげようか?」

 

「あ、はい…」神崎は簡単に屈した。

されるがままに、新羅のマウスピースが口に押し込まれる。グチャッと音がして

新羅の唾液が神埼の口の中へ生暖かく広がる。

「じゃあねぇ、君にチャンスをあげる、ボディ打ってみる?」

新羅はそう言って両手を腰に当ててボディを突き出した。

神崎はパンチを何度も繰り出した。硬いボディにドムドムと当たっているが、一向に

めり込む様子は無い。それでも打ち続けた。

15分程打っていると、じきに新羅のボディを殴るたびに汗がビチャッと散るようになった。

オイルでコーティングしたように新羅のボディは美しく艶かしい。そして汗の匂いが漂って来る。

神崎は疲れ切ってパンチを止め、両膝にグローブを当ててハァハァと息を整え始めた。

 

「ゴボッ」と音がして、新羅が少量、嘔吐した。

ビチャッとリングに落ちて少し酸っぱい匂いがする。

「結構いいパンチだったかな? 吐くのは始めてかも」

神崎はそれを聞いて、勃起している自分に気が付いた。

ただ、相手の命令に興奮したのか、自分が嘔吐させた事に興奮したのか分からない。

「お手本を見せてあげる」

新羅がそう言ってボディを打つ。

ドゥッと神崎の体に音が響く。自分の腹筋で防げるようなパンチでは無かった。

たまらずに膝を落として苦悶の声を出す。

 

「苦しいでしょ?吐いてもいいんだよ?」

新羅の声に気が緩み、神崎は嘔吐する。そしてほぼ相手のコントロール下に自分はいると感じた。

何故なら、このような状況でも勃起が収まらないからだ。

 

(俺は否定するッ! このまま呑み込まれてたまるか!)

 

急襲する形で立ち上がり、神崎は右フックを打った。

カーブが激しく、視界から消えた右拳がいきなり新羅の頬に食い込んだ。

「げぴゅっ!」

新羅がマウスピースを吐き出し、唾液を射精するようにビュルッと吹いた。

「もういっぺん吐きやがれ!」

新羅の腹筋に神崎の右グローブが炸裂。

そして、めり込んだ。

しばらくその格好のまま二人の時間が止まった。

 

新羅の頬が、ひまわりの種を頬張るハムスターのように膨れてくる。

「ぶあっ!」

神崎は唾液と胃液を同時に浴びせかけられ、神崎はニヤリとした。

「俺はSだよ!捻じ曲げる事が出来るんなら捻じ曲げてみろよ」

 

つづく