マウスピースを咥えなおして二人はプレイを再開する。

新羅はボディが効いたのか、最初より動きが鈍いように神崎には見えた。

(これはこれで結構楽しいな……確かに相手にもガンガン来てもらわないと面白くない)

神崎は少し右に重心を置いてクッと傾いた。

そこから少しアッパーをボディに向かって打つ。

どぼっ!とサンドバッグを少し柔らかくしたような手応えが有った。

テレビの宣伝で見たが、ショックを吸収する素材に卵を落とすと

割れずにバウンドもしない。そういった感覚だった。

 

森羅にとっては地獄だった。下から上へボディをふいに打たれ、ボディへの

衝撃が内臓にズンと響いたと思うと、喉の下までその衝撃が伝わってきた。

倒れて悶絶しそうになったが、ボディの筋肉を自慢している手前、そのまま

無様に倒れる訳には行かない。

「全然効かない……」

喋ろうとしたのが間違いだった。

 

ごぽっ。

 

胃から音がした。

 

ゴボォッと音をたてて透明な胃液が森羅の口からドボドボと溢れた。

胃は何度も痙攣しながら口まで胃液を逆流して来る。

 

「やっぱり俺は攻める方が好きだわ」

もう一発ボディを狙って神埼は同じようにパンチを打つが、流石に森羅は

本能で避けた。体をひねって何とかボディは避けたが左頬に思い切りめり込んだ。

「あぶっ……」

口の中の胃液と唾液を、ひしゃくで水を撒くようにパァッと散らして体をグルリと回転させると

そのまま自分の吐しゃ物の上にダウンした。

悲劇のヒロインが雨の中、水溜りに倒れこむような儚さが漂う。

 

 森羅は何か喋って強がろうと思ったが出るのは言葉では無く、胃液のみだった。

だが胃液は出尽くし、出ないものを必死に出そうと体は反応し、

ただ苦しそうに舌を出して顔を赤くするだけだった。

 

「立ち上がるか?」

神崎は挑発のように言うが、森羅は返事が出来ない。

プライドよりズタズタにされて疲労した内臓へのダメージの苦しさが考える暇を与えてくれない。

 

「風俗だからな」

神崎はそう言うとトランクスを脱いだ。

ペニスが心臓の鼓動のようにビクンビクンと動きながら、射精を渇望するように先端から

透明な液体を出している。

 

 森羅の口の中に「それ」が入ってくる。神崎は根元まで押し込むと、後は森羅に任せた。

喉まで入って来て森羅は嘔吐しそうになりながらも風俗としてのプライドを捨てず、ノドでこする様に

顔を動かした。

「ヤバっ、興奮しすぎた!」神崎が言うと、すぐにビュルビュルッと精液が放出され、森羅の胃を

直撃するように大量に注ぎ込んだ。

 

 

「良かった!」

神崎は満面の笑顔で言った事で、森羅は根底にある風俗嬢という義務を果たしたと、体の力を抜いた。

半分気絶しているような状態で、胃が刺激された為に胃液では無く、溜まった精液が上ってきた。

白濁した液体をゴポゴポと倒れたまま口から流す。

口元を泡立てたまま森羅は動かなかった。視点は定まっておらず、かといって気絶しているわけではなかった。

最後に半分空けた口からマウスピースがゴロッと転がり出て、白い水溜りの上にペチャッと倒れこんだ。

 

「俺、最高です」

神崎は両手を挙げた。

その様子はモニターで各部屋に映っており、見るのが目当ての客が必死に右手を酷使していた。

 

                                        おわり